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日本の医薬品業界を常にリードしてきた国内最大手の製薬企業

アリナミンも同社の主力製品

医療用医薬品で国内1位、世界12位と競争の激しいグローバル市場でも確固たる地位を築いている武田薬品工業ですが、その躍進のきっかけとなったのが、自社開発の前立腺がん治療薬「リュープリン」、消化性潰瘍治療薬「タケプロン」、高血圧治療薬「ブロプレス」、糖尿病治療薬「アクトス」などの画期的な新薬の開発です。

これらの自社開発品を海外市場に販売するために、1985年、アメリカのアボット社との合弁でTAPファーマシューティカル(TAP)を設立し、1997年以降、イギリスやフランスなどのヨーロッパ諸国にも相次いで子会社を設立していきました。

2000年以降は、動物薬事業をシェリング・ブラウに売却したのを皮切りに、ビタミン事業をBASF社、化学品事業を三井化学、食品事業をキリンビールとハウス食品、農薬事業を住友化学、生活環境事業を大阪ガスにそれぞれ売却するなど、医療用医薬品に特化した事業活動へと大胆な再構築を推進しました。

また、医薬品事業を強化するため、ヨーロッパ販売総会会社として武田ファーマシューティカルズ・ヨーロッパ(TPNA)を設立し、TAP社を分割して、NPNAと合併させました。現在では売り上げの約30%をアメリカ市場が、約15%をヨーロッパ市場が占めるまでに至り、売上に占める海外の構成比のほうが高くなっています。

近年は、糖尿病治療薬の開発候補品の獲得を目的として、バイオベンチャーのシリックス社を買収したり、パラダイム・セラピューティック社を買収して、中枢神経療育での共同研究成果の開発権を獲得しています。また「他社に比べて3年出遅れた」と指摘されるオンコロジー領域を強化するため、2008年に米バイオ医薬品メーカーのミレニアムを買収。さらに、2011年にはヨーロッパと新興国に強い販売網を持つスイスの製薬大手ナイコメッドを1兆円で買収しています。

武田薬品工業は医療用医薬品分野で8,000億円規模の売上を誇る一方で、年商の10%未満に過ぎないものの一般用医薬品の分野でも同社のブランド力は非常に強く、ビタミン剤の「アリナミン」や感冒薬の「ベンザ」を中心として幅広いラインナップを擁しています。近年は収録のビタミン剤に対する需要減退から苦戦を強いられていましたが、2011年は「アリナミン」シリーズの売上が増加に転じており、好調の兆しが見られます。

ブランド別で見ると、主力の「アリナミン」ブランドについては、内容を刷新したテレビCMと小売店の販促活動を連動させることにより新規顧客の取り込みに成功しており、錠剤の「アリナミンEXプラス」や「アリナミンA」、ドリンク剤の「アリナミンV」といった主力商品を中心に売り上げが増加しています。

感冒薬ブランドの「ベンザ」は総合感冒薬の「ベンザブロック」を主力とした展開であり、大正製薬の「パブロン」、第一三共ヘルスケアの「ルル」に続くブランドとして一定のシェアを確保しています。その他のブランドとしては、痔疾用の「ボラギノール」、禁煙補助薬の「ニコレット」、便秘薬の「タケダ漢方便秘薬」、関節痛治療薬の「アクテージ」などが挙げられ、いずれの薬効領域においても市場を代表するブランドとして高い支持を受けています。

抗がん剤「ベクティビックス」の伸長で国内の売上高が増加

2012年3月期の連結売上高は2年ぶりに1兆5000億円台を回復しました。武田薬品の最大製品である糖尿病治療薬「アクトス」は膀胱がんリスクの懸念などが影響し、売上は前年比24%の減少となりました。アメリカでは2012年8月に特許終了となるため、2012年度・2013年度も売上が大きく減少する見込みです。日本とヨーロッパでは既に後発品が参入していますが、DPP-4阻害薬「ネシーナ」への切り替えが進んでいます。

国内では糖尿病治療薬「ネシーナ」のほか、抗がん剤「ベクティビックス」、高血圧症治療薬「ユニシア」、不眠症治療薬「ロゼレム」など多数の新製品が売上に貢献しています。「ベクティビックス」の適応症である「KRAS遺伝子野生型の治療切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」の対象患者は、先行発売されたメルクセローノの「アービタックス」よりも限定されますが、その分奉功率が高くなっており、KRAS遺伝子変異の遺伝子診断の啓蒙と組み合わせて販売促進に成功しています。同剤は2012年7月に全例調査が解除となったため、更なるシェアの拡大が期待されています。

後発品と競合する長期収載品では糖尿病治療薬「ベイスン」が前年比20%減少の60億円、抗潰瘍薬「タケプロン」が8%増加の60億円となっています。国内ではそのほか、アルツハイマー症治療薬「レニミール」、糖尿病治療薬アクトスとSU剤の配合剤「ソニアス」、アクトスとネシーナの配合剤「リオベル」が期待されています。

グローバル製品では「アクトス」に次ぐ大型製品である降圧薬「カンデサルタン」が、売上の大半を占める国内製品「ブロプレス」の売上増加により、世界売上は前年比でほぼ横ばいの2160億円、抗潰瘍薬「ランソプラゾール」はアメリカ製品「プレバシド」が特許切れの影響で売上減少が続いているものの、国内製品「タケプロン」が好調で世界売上1220億円となっています。

米国子会社ミレニアムの主力製品である多発性骨髄腫治療薬「ベルケイド」の売上は70億円増加して580億円となりました。同剤は2012年1月に追加製剤の皮下注製剤が承認され、2012年度も20%台の成長が続いています。

新薬の開発動向

国内では鉄欠乏性貧血治療薬「リエンゾ」、ホジキンリンパ腫治療薬「アドセトリス」、短腸症候群(SBS)治療薬「レベスティブ」のヨーロッパでの承認を相次いで取得しました。ヨーロッパでは、あらに大日本住友製薬から導入した統合失調症治療薬「ルラシドン」とDPP-4阻害剤「SYR-322」を申請しました。

アメリカでは腎性貧血治療薬「オモンティス」を発売、さらに多発性骨髄腫治療薬「ベルケイド」の皮下注製剤も承認され、外来患者への東予が可能となったため市場規模が大きく拡大します。国内では7番目のARB製剤となる高血圧症治療薬「アジルバ」、高脂血症治療薬「ロトリガ」が発売されました。