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脂質異常症治療薬「クレストール」、抗潰瘍薬「ネキシウム」が主力

イレッサ訴訟の影響はどうなるか

イギリスに本社を置くアストラゼネカは消化器、中枢神経、循環器、がんなど幅広い領域の製品を販売している世界第7位(国内第13位)の製薬企業です。

国内では抗がん剤領域で存在感を示しており、中外製薬に次いで2位のシェアを獲得しています。

主力製品は、塩野義製薬から導入した脂質異常症治療薬「クレストール」、統合失調症治療薬「セロクエル」、抗潰瘍薬「ネキシウム」ほか。多くの低分子医薬品を成功させてきた同社ですが、特許の2012年問題(パテント・クリフ)が深刻です。

開発ラインは低分子医薬品が多く、イレッサ以降、分子標的薬の開発は停滞していましたが、2007年に米バイオテクノロジー会社メドイミューンを買収、2010年にはファイザーの研究所トップを引き抜くなど、抗体を含めて高分子医薬品の開発に力を入れています。

2011年の連結売上は336億ドル(2兆7,000億円)で、前年比1%の増加となりました。米国、欧州での売上が減少しましたが、その他の先進国市場、新興国市場では増加となりました。領域別に見ると、同社最大の30%を占める循環器系、それ次いで22%を占める精神・神経系がともに5%の売上増となりました。

主力製品の脂質異常症治療薬「クレストール」は、前回の薬価改定で7.6%の薬価引き下げとなったものの、前年比13%増加の66億ドルと好調をキープしています。LDLコレステロールの強力な低下作用や副作用が比較的少ないこと、動脈病変部位の改善効果や塩野義製薬との積極的なコ・プロモーション、新規臨床試験による心血疾患の罹患率・死亡率の減少など、メッセージの積極的な展開が功を奏したと思われます。

同剤は脂質異常症治療薬のなかではアステラス製薬とファイザーの「リピトール」に次いで市場2位にありますが、リピトールの特許が切れたことから、同系統の1位を奪取できるかが注目されます。アステラス製薬とのコ・プロモーションを展開している喘息治療用配合薬「シムビコート」も好調。

抗潰瘍薬「ネキシウム」は欧州で特許終了、米国では特許期間中であるものの競合品の後発品にシェアを奪われる形となり、売上は前年比12%減の44億ドルとなりました。抗がん薬では乳がん治療薬「アリミデックス」が後発品の影響が大きく、受け売上は53%減の8億ドルとなりました。

高齢化による前立腺がん患者の増加により、前立腺がん治療「カソデックス」は売上を増加させてきましたが、2009年からジェネリックが発売されたため、前年度から減収傾向となっています。しかし、2013年には前立腺がん治療薬としては初のOD錠(口腔内崩壊錠)となる「カソデックスOD」が発売されたことを受け、再び成長軌道に乗るかが注目されます。

2011年決算は好調に見えましたが、主力製品の統合失調症治療薬「セロクエル」も2012年に米国で特許終了となるため、経営陣は危機感を強めています。期待されていた新製品ですが、抗血小板薬「ブリリンタ」は米国心臓病学会(ACC)米国心臓協会(AHA)の共通ガイドラインに収載されるなどポテンシャルは大きいものの、発売2年目も1億ドルに届きそうになく、苦戦を強いられています。

糖尿病領域ではブリストル・マイヤーズとコ・プロモーションを展開しているDPP-4阻害剤「オングリザ」、GLP-1アナログ製剤「バイエッタ」、徐放製剤「ビデュリオン」に期待。2012年4月には、ブリストル・マイヤーズがバイエッタを開発したアミリン・ファーマシューティカルズを買収、同時にアストラゼネカもアミリン・ファーマシューティカルズに32億ドルを支払い糖尿病領域の提携を拡大しています。

今後の展望

2011年末に承認された乳がん治療薬「フォソロデックス」も閉経後乳がんを対象としたホルモン療法薬で、主要の成長や転移を防止するだけでなく薬剤耐性を防ぐ効果も持ち、今後が期待されます。そのほかの製品では、2013年に発売された世界初となる週1回投与の2型糖尿病治療薬「ビデュリオン(一般名:エキセナチド)」などの動向が注目されます。

抗菌・抗真菌薬の開発を手掛ける仏の製薬会社フォレスト・ラボラトリーズから導入した抗生物質「Zinforo」が2012年8月に、11月にはブリストル・マイヤーズと提携する糖尿病治療薬「Forxiga」が欧州で承認されました。

臨床試験ではKYK阻害剤の抗リウマチ薬「フォスタマチニブ」がフェーズ3、抗IL-13抗体「トラロキヌマブ(潰瘍性大腸炎)」、抗CD19抗体「MEDI-551(血液がん)」、抗IGF抗体「MEDI-573(固形がん)」が注目されています。