メディカルドクターの募集情報

抗がん薬とアンメット・メディカル・ニーズが研究開発の中心

抗体医薬品に強い

分子標的薬と体外診断用医薬品(コンパニオン診断薬)を同時開発し、分子レベルの病態解明がもたらす個別化医療で業界をリードしてきたロシュ

2009年には抗体医薬品最大手の米子会社のジェネンテックを完全子会社化して、バイオ医薬品への集中を加速させています。抗リウマチ薬「アクテムラ」を開発した中外製薬は2002年からロシュの連結対象子会社となっています。

従来、ロシュの最大製品は大腸がんに加えて、乳がん、肺がん、卵巣がんなどの効能追加が行われてきた抗がん薬「アバスチン」でしたが、FDA(アメリカ食品医薬品局)が同国での乳がんの承認を取り消した影響がやや懸念されます。

一方、非ホジキンリンパ腫、悪性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、リウマチなどに承認されている「リツキサン」の世界売上は好調で、アバスチンを抜き同社の最大製品に成長しました。「ハーセプチン」も新興国市場を中心に売上が拡大しており、先進国市場でも胃がんの効能追加により堅調を維持しています。

新製品で最も売上が伸びているのは抗リウマチ薬「アクテムラ」で、2011年の世界売上は75%増加で540億円を超えました。アメリカでは前年比188%となっており、2012年には「ファーストライン治療」の適応が追加承認されたため、売上はさらに伸びる見通しとなっています。メラノーマ(悪性黒色腫)治療薬「ゼルボラフ」はアメリカで承認後、ヨーロッパを中心に40カ国以上で承認され、2012年度は200億円を超える売上となりそうです。

多くのグローバル企業がいわゆる「2012年問題(パテント・クリフ)」に悩まされるなか、ロシュは増収基調を維持する数少ない製薬会社の一つとなっています。

今後の動向

HER2陽性転移再発乳がん治療薬「パージェタ(一般名:ペルツズマブ)」がアメリカで2012年6月に承認され、日本でも2013年6月に承認されました。同じ乳がん領域ではさらに「T-DM1」が申請段階にあります。同剤は抗体医薬品ハーセプチンに強力な化学療法剤を組みあわせた抗体・薬物複合体(ADC)で、優れた臨床試験成績を示しています。

なお、開発が進められていた循環器・代謝系の糖尿病治療薬「aleglitazar」は、武田薬品の「アクトス」と同様のPPAR-γ作動薬で、PPAR-αに対する作用も注目されていましたが、安全性に問題があるとして第三相試験を中止しました。

バイオ医薬品の特許切れで注目されるバイオシミラー

ロシュが注力している「バイオ医薬品」は、がんや自己免疫疾患治療における有効性や安全性が確認され、新薬に占める割合も年々増加しています。しかし、バイオ医薬品は総じて高額なことから患者への経済的負担の増加や医療費高騰の原因ともなっていました。

このような状況のなか、2012年以降には初期に開発されたバイオ医薬品の特許期間が終了するため、「バイオシミラー(バイオ後続品)」の開発が注目されています。

ロシュの主力製品である「ハーセプチン」はファイザーが、「リツキサン」についてはノバルティス・ファーマがそれぞれバイオシミラーの中期治験を行っています。

従来の医薬品と異なり、仕組みが複雑なバイオ医薬品の後発品を生産・販売できるのは専門知識を持つ大手製薬会社に限られるため、まだまだ参入障壁が高いのが現状です。逆に当初は後発薬市場に参入する可能性が低いといわれていた大手製薬会社がバイオシミラーの開発に積極的になった理由もここにあります。

国内では厚生労働省が2009年に「バイオ後続品の品質・安全性・有効性」確保のための指針を公表し、ヒト成長ホルモンとエリスロポエチンのバイオシミラーが上市されました。さらに、G-CSF製剤のフィルグラスチムのバイオシミラーが承認されるなど、国民医療費の軽減とともに高額であることが使用の妨げとなっているバイオ医薬品が普及しやすい環境が整ってきました。