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オンコロジー領域の製品(親会社ロシュから導入)が絶好調

インフルエンザ特需で注目されました

ノバルティスファーマと並んでスイスの2大グローバル医薬品企業であるロシュ。日本市場では1932年に日本ロシュを設立し、1972年には研究所を開設するなど、販売活動だけではなく、研究・開発活動にも積極的に取り組んできました。

2002年には技術獲得と市場への参入強化を目的とした戦略的アライアンスに基づき、中外製薬と合併しました。この結果、日本国内における医療用医薬品事業は、ロシュグループの中外製薬が担うことになりました。

現在は、医療用医薬品と診断薬の2つが事業の中心となっており、日本市場においては、医療用医薬品事業を中外製薬が担当し、診断薬事業をロシュ・ダイアグノスティックスが担当しています。

中外製薬は、日本ロシュとの合併以前には一般用医薬品も取り扱っていましたが、2003年にライオンへ売却。そのため、ロシュは日本国内においても、医療用医薬品と診断薬に特化した事業内容となりました。またバイオ分野への開発にも力を入れています。

現在、同社はオンコロジー領域における国内シェア第1位となっており、更なる市場拡大が期待できる抗体医薬品の分野でも、国内トップのシェア(36.4%)を誇ります。通常の医薬品に比べて再現・量産が難しい抗体医薬品の開発には高い技術力と大規模設備が欠かせませんが、その市場においてロシュの豊富な人材・技術・資金をフル活用できるのはロシュが持つ最大の強みといえます。

同社の業績を支えている主要な医薬品は、抗がん剤「リツキサン」「ハーセプチン」「アバスチン」、日本で初めての国産抗体医薬品「アクテムラ」、抗インフルエンザ薬「タミフル」などが挙げられます。この抗がん剤3品目は、がん細胞だけを「狙い撃ち」する分子標的治療薬で、いずれも60億万ドル以上の売上を上げており、抗がん剤の売上高トップ3を独占しています。

「アバスチン」「ゼローダ」「タルセバ」等のがん領域が伸長

インフルエンザ治療薬「タミフル(一般名:オセルタミビルリン酸塩)」は2008~2009年シーズンのインフルエンザの大流行の反動で、2009年度の762億円から2010年度は181億円へと減少しました。

抗IL-6受容体抗体の関節リウマチ治療薬「アクテムラ(一般名:トシリズマブ)」の輸出は38億円増加して127億円となりましたが、G-CSF製剤の白血球増加薬「ノイトロジン」の海外売り上げは170億円へと43億円減少しました。その結果、海外製品売上高は330億円と1.8%減少しました。

国内では、親会社ロシュから導入している「がん領域」のグローバル製品と「骨・関節領域」の関節リウマチ治療薬アクテムラが好調で、国内医療用医薬品の拡大に貢献しました。

がん領域では、抗VEGF抗体「アバスチン」、FU系代謝拮抗剤「ゼローダ」、EGFR阻害剤の肺がん治療薬「タルセバ」が伸長しました。アバスチンは2009年11月に肺がんの効能追加が承認され、売り上げが大きく増加しています。国内では、アメリカの承認が取り消された乳がん効能についても2011年9月に承引されました。

ゼローダは結腸・直腸がんについて「オキサリプラチン」との併用(XEROX療法)として2009年9月、胃がんについて2011年2月に追加承認されました。また、タルセバは非小細胞肺がん治療の全例登録調査が2009年中に終了し、2011年7月には膵がんの効能追加も承認されました。

抗HER2ヒト化モノクロナール抗体の乳がん治療薬「ハーセプチン」は2008年2月にアジュバント療法が追加承認され、売上高が拡大しました。2010年には薬価再算定を受けたことからいったんは減少しましたが、2011年3月には「HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がん」が追加承認され、再び増加傾向にあります。

自社開発製品ではアクテムラが57億円増加して141億円となりました。関節リウマチ治療薬の領域では「レミケード(田辺三菱)」、「エンブレル(ファイザー、エーザイ)」に次ぐ3位の市場シェアを持ちますが、後から発売された「ヒュミラ(アボット、エーザイ)」が猛追しています。

2009年度まで中外製薬の最大製品だった自社開発の腎性貧血治療薬「エポジン」は400億円と前年比10%の減少となりました。同領域での競合品「ネスプ(協和発酵キリン)」に対抗する、4週間に1回投与製剤「ミルセラ(一般名:エポエチンベータ ペゴル)」を親会社のロシュから導入し、2011年7月から発売し、巻き返しを図っています。

2011年4月には自社開発の活性型ビタミンD3化合物の骨粗鬆症治療薬「エディロール」を発売しましたが、新薬開発のほとんど親会社のグローバル抗がん薬の適応拡大で、アバスチン、ゼローダ、ハーセプチンなどの適応拡大が申請段階にあります。

がん細胞に選択的に作用する分子標的薬

抗がん剤治療の様子

従来型の抗がん剤は、がん細胞が正常細胞よりも細胞分裂が活発で早い細胞周期による核酸の利用速度の違いだけに対して作用していました。

これらの抗がん剤は、がん細胞以外の分裂速度の速い細胞、すなわち骨髄中の幼若造血細胞、口腔粘膜細胞、消化管上皮細胞などに対しても作用するため、骨髄抑制(白血球減少、血小板減少)、消化器障害、脱毛などの副作用が発現しやすいという大きな弱点がありました。

一方、分子標的薬はがん細胞や重篤な疾患で特異的に発現している分子を標的とすることができることから、これまでの治療薬と比較してがん細胞に対してより選択的に作用し、副作用の発現を抑えることができるのが最大の特徴です。

分子標的薬は大きく分けると低分子化合物と抗体薬品があります。低分子化合物は標的分子の活性部位に結合し、その機能を阻害します。そのため標的分子が、がん細胞の増殖シグナルを伝達する役割を持っていると、この分子の機能を阻害することによって抗がん剤としての作用を発揮するのです。

現在発売されている分子標的薬の標的分子としては上皮成長因子(EFG)受容体や血管内皮成長因子(vEGF)受容体などのチロシンキナーゼ(TK)型受容体が代表であり、チロシンリン酸化が細胞の異常な増殖・分化のシグナル伝達経路を活性化することからチロシンリン酸化酵素を阻害することにより抗がん作用を示します。