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抗生物質の開発・販売が強みも、海外進出の遅れが課題

ライセンスアウト品の使用料が業績を支えます

自社開発のアンタチヂンを1909年に発売して以来、抗生物質を中心とした医療用医薬品と営業力を背景に順調に発展を続けてきた塩野義製薬

2000年代に入ってからは、それまでの多角化経営を見直し、動物薬事業や植物薬事業から順次撤退し、医薬品事業に特化する戦略を採用しました。

現在は売上高の97%が医薬品事業となっており、フロモックスやフルマリン、塩酸バンコマイシンなどの抗生物質が主流となっています。

しかしながら他国に比べて衛生環境が優れている日本では抗生物質の市場自体が収縮傾向にあるため、この数年は業績は低迷しています。

また、1990年代以降、ほかの大低製薬企業が相次いで海外進出を推進するなか、塩野義製薬はその波に乗り遅れることになりました。現在でも国内での売上高が全体の90%を越えており、大手製薬会社の地位を保つためには、今後、海外進出をどう軌道に乗せるかが課題となります。2008年に1,400億円を投じて買収した米国子会社シオノギInc(旧サイエル)も不調となっています。

現在、売り上げを大きく伸ばしているのが、アストラゼネカにライセンスアウトされ、ブロックバスターとなった自社開発の高脂血症治療薬「クレストール」です。クレストールのライセンスアウトによる特許料量収入は2011年度には680億円となっており、現在の塩野義製薬を支えています。

最重要戦略3品目への営業戦力の集中化で売上高の拡大を狙う

2012年3月期の連結売上高は前年比5%減少して2,670億円でした。営業戦略を集中化する最重要戦略3品目の「クレストール」、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の高血圧治療薬「イルベタン」、SNRI系抗うつ薬「サインバルタ」のうち、クレストールとサインバルタは好調を維持しています。

国内の「クレストール」は同社とアストラゼネカの2社で販売していますが、自社販売が前年比23%増の357億円となり、スタチン系市場での2社合計シェアは2009年度17.6%、2010年度21%、2011年度の22%台と着実に伸長、1位の「リピトール(アステラス製薬/ファイザー)」31~31%に次ぐ2位となっています。

「サインバルタ」はイーライリリーから導入したセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)で、発売2年目の2011年度は前年比69%増加の66億円となりました。薬価算定時の会社予測では発売5年後に投与患者数55万人、販売金額244億円を想定しています。

サインバルタはうつ病の寛解や改善作用だけでなく疼痛等の身体症状の改善にも有効性を示すため、2012年2月に「糖尿病性神経障害に伴う疼痛」の追加効能が承認されました。糖尿病性神経因性疼痛糖尿病患者の約40%が神経障害を合併し、末梢神経や脊髄神経の障害による慢性疼痛を発症する患者が多いため、300億円の売上達成も可能とみられています。

戦略3品目で唯一苦戦しているのは「イルベタン」です。2011年度は前年比22%増加の89億円となっているますが、同一成分を別名称で販売する大日本住友製薬の「アバプロ」は前年比29%増の107億円となっています。薬価ベース6,500億円で国内最大の薬効群でるレニンアンジオテンシン系作用薬(RAS)市場でのシェアはどちらも2%に到達していません。RAS市場はアンジオテンシン受容体拮抗剤(ARB)とアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤からなり、シェア20%の武田薬品の「プログレス」をはじめ、ノバルティスの「ディオバン」、第一三共/興和の「オルメテック」、アステラス製薬の「ミカルディス」などがシェアを争う厳しい市場です。