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低価格の実現でジェネリック医薬品市場の国内トップシェアを狙う

抗がん剤の後発薬に注力

イスラエルに本社を置くテバ・ファーマスーティカルは、抗がん剤などのジェネリック医薬品を主とする医薬品メーカーです。

1982年にはアメリカへ、1990年にはヨーロッパへ進出しており、世界規模で事業を展開しています。2008年には世界9位のジェネリックメーカーであるアメリカのバー社を買収しています。

日本市場には2005年にテバ・ファーマスーティカル株式会社を設立して参入を果たしました。2009年には興和との合弁企業である興和テバを設立し、2010年からはジェネリック医薬品の販売活動を開始しました。

2011年、テバ・ファーマスーティカルは大洋薬品のM&Aを発表。この結果、ジェネリック医薬品のシェアで国内最大手企業が誕生しました。翌2012年には興和テバと統合する形で現在のテバ製薬となりました。

テバ製薬の強みとして、他社に比べて生産する医薬品の品目数が圧倒的に多い点が、まず挙げられます。自社薬品の約600品目に加え、約60社の受託生産も行っているため、合計1,000品目以上の医薬品を生産(国内市場で1位)しています。さらに、グループ全体の仕入れ・製造ネットワークを活用して、原料の大量仕入れと大量生産を行っているため、他社に比べて大きなコストダウンの実現が可能となりました。ジェネリック市場のシェア争いで重要な要素となる価格競争でも、同社は有利なポジションにあるのです。

テバの事業はその75%がジェネリック医薬品事業ですが、新薬の開発事業も手掛けています。売上高を見てみると、およそ60%がアメリカ市場での売上であり、残りの40%のうちの半分をヨーロッパ、残りがそれ以外の市場となっています。新薬事業を支える製品は、多発性硬化症治療薬「コパキンソン」です。同薬の売上高はテバ全体の17%を占めており、これ1つで新薬事業のほぼ全てを占めています。

増大する医療費を抑制するためジェネリック医薬品の普及に政府が本腰を入れ始めた日本は、ジェネリック医薬品メーカーであるテバ製薬にとって戦略上、最も重要な市場の一つです。そこで同社では組織改革や人材育成、各疾患領域に専門MRを配置するなどの日本でのシェア拡大に向けての販売力強化に力を入れており、2018年までに国内ジェネリック市場で上位の日医工と沢井製薬を抜いて1位になることを目指しています。

大洋薬品がテバ傘下に入った背景

大洋薬品は2010年3月、承認規格外の製品「ガスポートD」を製造、販売したとして、主力の高山工場の営業停止処分(薬事法違反)を受け、業界に大きな衝撃を与えました。問題の責任を重く受け止めた新谷社長(当時)は44年間務めてきた同社のトップを退任しました。

テバ傘下に入ることを決断した大きな理由の1つには、業務停止処分が明けて1年が経過し、再発防止の取り組みに道筋がついたと判断したことがあります。業務停止問題で離脱を余儀なくされていた「攻めの経営路線」へと舵を切りなおし、国内ジェネリック医薬品市場でトップを目指す姿勢を明確に打ち出しました。

大洋薬品はテバ・グループの一員となることにより、グローバル企業の豊富な経営資源を活用できる道が開けました。原薬(API)を大量かつ安価で調達できるほか、国内後発品企業の課題とされるバイオ後続品の事業展開にも足がかりを掴みました。

その半面、業務停止問題を生み出した組織風土の改善には時間がかかるため、成長路線の陰には問題再発のリスクもついてまわります。また大洋薬品の創業家は、保有していた全株式をテバに売却し、同社の一時代は終わりを告げました。

一方、テバは2008年に興和との間で合弁会社「興和テバ」を設立し、日本でのジェネリック医薬品事業を展開していましたが、2011年9月に合弁事業の解消を発表。同社の株式のうち、興和が出資した50%分をテバが買い取りました。さらに2011年11月、大洋薬品と興和テバを統合・再編し、「テバ製薬」を設立することを発表しました。2社の売上高を単純に合算すると約700億円となり、国内ジェネリック医薬品専業メーカーで最大手の日医工に匹敵する企業が誕生することになりました。

診療報酬改定によるジェネリック医薬品の促進

毎年1兆円のペースで増加をつづける社会保障費を削減する数少ない方策が、ジェネリック医薬品の促進です。2012年度の診療報酬改定では、ジェネリック医薬品の1調剤ごとに薬局に付く「後発品調剤加算」など2つの加算が廃止となり、薬局向けの加算は「後発医薬品調剤体制加算」に一本化しました。このためジェネリック医薬品の調剤率が22%未満の薬局への加算はなくなり、薬局におけるジェネリック医薬品への取り組みが必須となりました。

調剤体制加算は今まで加算1(調剤率20%以上・6点)、加算2(25%以上・13点)、加算3(30%以上・17点)の3段階で加算されていました。12年度以降は加算1(調剤率22%以上・5点)、加算2(30%以上・15点)、加算3(35%以上・19点)としました。

加算1は2ポイントの小幅な引き上げで加算を算定していない薬局の取り組みを促す一方、加算2・3は5ポイントずつと大幅な引き上げで更なる取り組みを促す狙いです。テンスも加算1は1点減点する一方、上位2つの加算は2点ずつ上げメリハリを付けました。

また2012年度から調剤率の算出方法の見直しとして、ジェネリック医薬品の使用促進を適性に評価する目的で、ジェネリック医薬品のない「漢方調剤」と「生薬」を分母から除くことになりました。これにより調剤率は平均1.6%上昇します。分母の見直しを行うことで加算1で算定する薬局への影響が最小限に抑えられます。

また保険薬局で薬剤師が調剤の際に医薬品と一緒に渡す「薬剤情報提供文書」は薬歴管理と一緒に「薬剤服用歴管理指導料」で評価しています。2012年度以降は、調剤した先発医薬品についてのジェネリックの有無や価格、在庫情報を薬剤情報提供文書で提供するように同指導料の算定要件に加えます。調剤の都度受け取る薬剤情報提供文書を活用することでジェネリック医薬品の情報提供を充実させます。

さらに、一般名処方を推進するため「一般名処方加算」を新設しました。これは医療機関が一般名を記入した処方せんを発行した場合、処方せんの発行1回につき2点が入ります。先発品のブランド名が書かれた処方せんでも変更不可のしるしがなければジェネリック医薬品に切り替えることができますが、一般名の方が薬剤師は患者に勧めやすいというメリットがあります。また薬局はジェネリック1成分につき1銘柄だけ置けば済むため、在庫負担の軽減にもつながります。

中医協では診療側委員からジェネリック医薬品の品質確保策を求める意見が多かったため、厚生労働省と医薬品医療機器総合機構が中心となり医療機関や国民向けに科学的見解を作成し、先発品と賦形剤が異なることなどを説明することになりました。また、国立医薬品食品衛生研究所の「ジェネリック医薬品品質情報検討会」の検討結果を積極的に情報提供することとしました。