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統合失調症治療薬「エビリファイ」が医薬品事業を支えています

2015年に迎える特許切れが課題

大塚ホールディングスの前身である大塚製薬は、一般の方から見ると製薬企業のイメージよりも、ポカリスエット、カロリーメイトに代表される健康飲料や健康食品の会社というイメージが強いようです。

しかし、同社は早い段階から世界進出の足がかりを築くべく、世界各国に医薬品の研究所や工場の建設、2009年には、テガフール製剤で国内トップシャアを誇るなどオンコロジー領域で実績のある大鵬薬品を完全子会社化するなど、医薬品事業の拡充に努めてきました。

製薬企業として大塚製薬の名を大きく高めることになったのは、統合失調症などの治療に用いられる非定型抗精神病薬「エビリファイ」の独自開発に成功したことです。

「エビリファイ」の2011年の売上高は4100億円に達しており、同社の医薬品売上高7800億円の約半分を占めており、医薬品事業を支える柱となるとともに、同グループ全体の医療用医薬品売上高を武田薬品工業、アステラス製薬、第一三共に次ぐ国内第4位にまで上げる原動力となりました。

世界60カ国以上で販売されている「エビリファイ」は、医薬品別の売上で見ても世界14位にランクインしており、統合失調症治療薬では「セロクエル」に次ぐ第2位となりました。エビリファイは米国では大うつ病補助療法で処方が拡大し、日本国内では統合失調症に加えて双極性障害躁症状の適応追加もあり、更なる売上拡大が期待されます。

2012年3月期は連結売上1兆1550億円で、医療関連事業が68%を占めています。主力製品「エビリファイ」以外の動向では、抗てんかん薬「イーケプラ」は長期処方解禁となった影響で売上が大幅した一方、抗血小板薬「プレタール」、胃炎・胃潰瘍治療薬「ムコスタ」は後発品の影響で減少傾向へ転じました。

オンコロジー領域では制吐薬「アロキン」、抗がん薬「アブラキサン」がともに発売から2年目で売上が順調に拡大しました。抗がん薬「ティーエスワン」は、欧州の提携先ノルディックBVが製品名「Teysuno」で販売を開始しましたが、国内の肺がん患者の減少を肺がん、大腸がんの新規処方で補うことはできずに2%減の360億円となりました。

これらの抗がん薬は大塚ホールディングスの完全子会社である大鵬薬品が販売を行っていますが、もう一つの子会社、大塚製薬でもオンコロジー領域の取り組みを本格化させています。ブリストル・マイヤーズと「エビリファイ」の提携を延長した際、大塚製薬はその対価として慢性骨髄性白血病治療薬「スプリセル」の日米欧における共同販促権を取得しました。同剤は慢性骨髄性白血病のファーストライン効能追加が各国で進み、売上が順調に伸びています。

そのほか、同社が力を入れている眼科領域では、消化性潰瘍治療薬「ムコスタ」の有効成分から、ドライアイ治療用点眼薬の「ムコスタ」の開発に成功し、同領域におけるシェアを拡大しています。

循環器領域では、ファースト・イン・クラスの経口ロバソプレシン受容体拮抗剤「サムスカ」の売上が好調です。国内では「心不全の浮腫」治療の重要な選択肢として普及を目指していますが、米国では「水だけを出す利尿剤」という切り口でヒットしました。

エビリファイの特許が切れる2015年以降の新薬開発が課題

エビリファイでグローバル企業の仲間入りを果たした大塚ホールディングスですが、同薬は2015年に特許切れを迎えるため大幅な減収が予測されます。精神化領域で成功を収めた同社はエビリファイに続く新薬の開発を最大の課題としており、その最初のステップとして、デンマークの大手医薬品メーカーであるルンドベック社と提携を行い、エビリファイの月1回投与方の薬剤「エビリファイ・メンテナ」の販売をアメリカで開始しました。

精神疾患を抱える患者は、拒薬(薬で新たな症状が現れるなどの被害妄想による薬剤の服用拒否)や怠薬(薬の飲み忘れで、昼夜逆転や物忘れが進行する認知症患者に多い)の傾向が強いことから、服薬継続の維持が難しいという問題がありますが、月1回の投与で症状をコントロールできる同剤は利便性が高いとして高収益が期待されています。

市場規模の成長が見込まれる加齢黄斑変性病の治療薬も現在進行中です。また高齢者人口の増大を踏まえ、ニーズの高いアルツハイマー型認知症の治療薬もルンベック社と共同開発を行っており(2013年末に第3相臨床試験を予定)、同薬の開発が成功すればアメリカで年間10億ドル以上を売り上げるブロックバスター(大型医薬品)になる可能性があると専門家はみています。