メディカルドクターの募集情報

糖尿病治療薬「ランタス」、抗血小板薬「プラビックス」が好調

主力製品の適応拡大に期待

フランスの大手製薬会社サノフィ・サンテラボが同じくフランスのアベンティスを吸収合併して誕生したサノフィ・アベンティスは、2011年に社名を現在のサノフィに改称しました。

循環器、がん、糖尿病領域などを中心に製品を提供しており、代表的な製品には糖尿病治療薬「ランタス」、抗血小板薬「プラビックス」、低分子ヘパリン製剤「ロベノックス(国内製品名はクレキサン)」、抗不安薬「マイスリー」、降圧薬「アバプロ」、インフルエンザ髄膜炎の予防ワクチン「アクトヒブ」、抗がん剤「タキソテール」「エルプラット」などがあります。

グローバル市場におけるサノフィの成長の原動力は糖尿病治療薬「ランタス」と新興国市場、および新興国における他社の買収にあります。2011年にはアメリカにおけるプレゼンスの強化とバイオ医薬品領域でのフルライン化を果たすために、同国のバイオテクノロジー企業ジェンザイムを買収しました。

また同社は、他社に先駆けて「ドラッグ・ラグ」の問題解決に乗り出したため、フランスと日本で新薬を同時に開発できる体制が整っていることも、グローバル市場で強い大きな理由です。

日本市場では、2006年に発売された抗血小板薬「プラビックス」が大幅増収を続け、大塚製薬の「プレタール」、小野薬品の「オパルモン」などからシェアを奪い、2010年に同市場におけるトップ製品に成長しました。

抗アレルギー薬「アレグラ」は2011年7月にOD錠を発売しました。競争の激しい市場ですが、アレルギー性鼻炎の適応を持つ小野薬品の「オノン」、MSDの「シングレア」などを抑えてトップにあります。

インスリン製剤の糖尿病治療薬「ランタス」は、2003年に発売された製品ですが、経口血糖降下薬と基礎インスリンの併用「BOT療法」の普及や、注入機の改良などで再び成長軌道にあります。

タキサン系抗がん剤「タキソテール」は、ブリストル・マイヤーズの競合品「タキソール」の後発品が発売になったものの影響はそれほどなく、適応拡大の恩恵などもあり成長軌道にあります。

主力製品の適応拡大が今後の成長のカギを握る

現在は期待される新規開発の製品は少なく、既存製品の適応拡大などが今後の成長の中心になると予想されます。更なる売上拡大が期待される「プラビックス」は、2011年に「経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される安定狭心症・陳旧性心筋梗塞患者」への適応拡大が、さらに2012年8月にはST上昇心筋梗塞、翌9月には末梢動脈疾患への適応拡大がそれぞれ承認されました。そのほかでは、タキソテールを予め溶解することで、調剤の手間を省略した「ワンタキソテール」を2011年に発売しました。

今後は国内市場のTOP5入りを見据え、ワクチン事業に特化したサノフィパスツール(100%子会社)を設立したほか、日医工とジェネリック医薬品の合弁会社を立ち上げるなど、ワクチンやジェネリック分野における開発力を強化していく方針です。

抗アレルギー薬「アレグラ」をめぐる特許訴訟

抗アレルギー薬「アレグラ(一般名:フェキソフェナジン塩酸塩)」は、年間売上高629億円にのぼるサノフィの主力製品のひとつとなっています。同社は3つの適応のうち「アレルギー性鼻炎」「蕁麻疹」は2014年3月、「皮膚疾患に伴うそう痒」は2015年9月まで用途特許が存続すると主張しています。

しかし、特許無効を訴え後発品参入を目指す企業が後を絶ちません。後発品参入を目指す沢井製薬と高田製薬は特許庁に無効審判を請求、2011年12月特許庁は両社の首長を受け入れて特許無効の判決を下しました。

これを受けたサノフィは知的財産高等裁判所に控訴を行い、日医工サノフィを通じてAG(オーソライズド・ジェネリック:先発品企業が子会社などに権利を与えて発売する後発品)の承認を取得しました。これにより、特許無効が確定した場合、AGを先行発売することで後発品市場で先手を打つ戦略も取れる体制を整えたのです。

事態の推移が注目されましたが、2012年7月に突然の和解が成立しました。サノフィ、後発品企業の双方が訴えを取り下げたため、特許無効の審決は白紙となりました。和解内容は明らかになっていませんが、サノフィがAGの先行発売を取りやめる代わりに、沢井製薬と高田製薬が特許の有効性を認め、単発品の発売が特許切れ後になることを受け入れたのでは、との専門家の見方もあります。

しかし、この和解とは無関係のエルメッドエーザイ、小林化工、大正薬品が同年8月に後発品の承認を取得しました。エルメッドエーザイは特許庁に独鈷y無効審判も起こしました。サノフィは10月に東京地裁に特許侵害訴訟を起こしましたが、エルメッドエーザイと小林化工は訴訟を抱えたまま12月に収載し、2013年2月に発売に踏み切りました。

一方、サノフィはAGの収載を見送りました。上記の沢井、高田両社との和解が関係している可能性もありますが、後発品が先に収載・発売されたため、AGを先行発売することで後発品市場を押さえるという戦略は消滅することになりました。

ただしサノフィは、2012年12月に「アレグラ」とOTC成分(塩酸プソイドエフェドリン)の配合剤「ディレグラ」の承認を取得、2013年2月に薬価収載されました。こちらは6年間の再審査期間中は後発品の発売が禁じられています。

単剤に後発品が参入したことを踏まえ、同社は今後、配合剤の販売に比重を置く可能性があります。また、新たな市場を開拓するため、「アレグラ」のスイッチOTCの承認を取得し、久光製薬を通じて販売を開始しました。