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海外に強い2社が合併して誕生したアステラス製薬

グローバル企業として誕生

1兆円に迫る売上の約25%をヨーロッパ市場、約20%をアメリカ市場が占めているアステラス製薬は、2005年に東京の山之内製薬と大阪の藤沢薬品工業が合併することによって誕生しました。

山之内製薬は消化性潰瘍・胃炎治療薬「ガスター」、排尿障害改善薬「ハルナール」を、藤沢薬品には注射用抗生物質「セファメジン」や免疫抑制剤「プログラム」を開発したという実績があります。

これらの実績に加えて、1990年代前半から2000年代前半にかけて、藤沢薬品はアメリカに、山之内製薬はヨーロッパにそれぞれ販売網を確立しており、海外市場を視野に入れた販売戦略に定評がありました。

このようにグローバル企業を目指して誕生したアステラス製薬は、その前身企業の時代から、海外市場への進出を進めていたのです。合併後には米バイオベンチャーのアジェンシス社の買収にも成功しており、欧米両方で新薬の承認申請を活発化させています。

2005年の合併に先立ち、2004年には両社の一般用医薬品事業を統合してゼファーマを設立しましたが、2006年には同社を第一三共に売却して、現在は医療用医薬品事業に特化した企業となっています。

国内市場では前述の「プログラフ」や過活動膀胱治療薬「ベシケア」等の自社開発品だけでなく、高脂血症治療薬「リピトール」、高血圧治療薬「ミカルディス」、入眠薬「マイスリー」などのライセンスイン製品(他の企業やバイオベンチャーの研究した医薬品)も売上高の増加に貢献しています。

また、アメリカ・ヨーロッパ市場では、プログラフとハルナールの特許失効による売上高の減少が見られる一方で、ベシケアが大きく伸びています。近年は泌尿器、移植領域に続いてオンコロジー領域を3番目の重点領域とする成長戦力を本格化させており、2010年にはこの領域に特化した製品開発を行っているアメリカのバイオ製薬企業OSIを買収しました。

頻尿・尿失禁治療薬「ベシケア」、消炎鎮痛薬「セレコックス」が好調

2012年3月期の売上は、前年比2%増の9,690億円となりました。売り上げ増加が最も顕著だった過活動膀胱治療薬「ベシケア」はグローバル売上が100億円増加して970億円となり、日米欧における同市場のトップを占めています。米国市場ではグラクソスミスクラインとのコ・プロモーションを終了した2011年12月以降も販売が好調です。

2011年9月には世界初のβ3アドレナリン受容体作動薬となる過活動膀胱治療薬「ベタニス」を国内で発売しました。同剤は2012年10月に米国でも製品名「ミラベトリック」として発売、欧州では製品名「ベットミガ」として承認されました。同社では、抗コリン剤である「ベシケア」と合計で600億円増となる世界売上1,600億円を目標としています。

アステラスの国内最大製品であるコレステロール低下剤「リピトール」は、競合品「クレストール」の市場シェア拡大、メバロチンに対する後発品の増加や、2012年4月の薬価改定での長期収載品の追加引き下げなどの影響を受けて売上の減少が続いています。

高血圧症治療薬「ミカルディス」の単剤売上高は減少しましたが、利尿薬との配合剤「ミコンビ」と、カルシウム拮抗薬アムロジピンとの配合剤「ミカムロ」との合計では、増加となっています。しかし、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)市場では、1位の「プログレス(武田薬品)」、2位「ディオバン(ノバルティス)」に次ぐ3位の座を競う「オルメテック(第一三共)」との差は広がっています。

その他では消炎鎮痛薬「セレコックス」、喘息・COPD治療薬「シムビコート」、抗菌薬「ジェニナック」、骨粗鬆症治療薬「ボノテオ」といった新製品の売上は200億円増えて700億円となりました。また、精神・神経領域では睡眠導入薬「マイスリー」、総合失調症治療薬「セロクエル」が好調です。

さらに、フェリングから導入したGnRH受容体アンタゴニストの前立腺がん治療薬「ゴナックス」を2012年8月に発売しました。オンコロジー領域への進出は海外で先行しており、ロシュに導入している「タルセバ」の特許料収入と米国での共同販売、前立腺がん治療薬「リュープロレリン」の後発薬「エリガード」で470億円売り上げています。

アステラス製薬の国内売上高上位10品目はアライアンス製品を含めて、全てがグローバル製品である点は注目されます。国内では海外市場では通用しない製品が主要品目となる企業が多い中、同社の自社開発、製品導入の実績は特筆に値します。

新薬の開発動向

国内の新薬開発では、2012年にはRLS(むずむず脚症候群)の治療薬「レグナイト」、高リン血症治療薬「キックリン」が発売、喘息治療薬薬「シムビコート」がCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の効能追加に至りました。

剤形追加・適応拡大での承認取得では骨粗鬆症治療薬「ボノテオ」の月1回製剤が注目されます。ビスホスホネート系骨粗鬆症治療薬の競合品である「フォサマック/ボナロン」、「アクトネル/ベネット」などとの競合条件がいよいよ整うものと期待されます。

グローバル市場では、中期経営計画で重要領域と位置づけてきたオンコロジー領域が大きく進展しました。2012年9月には米バイオベンチャーのメディベーションから導入した前立腺がん治療薬「エクスタンディ」が申請から3ヶ月強の記録的な速さでPDA承認を取得、さらに腎細胞がん治療薬「チボザニブ」の承認申請をFDAへ提出しました。