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医薬品の安全と信頼性を守る生産部門

薬学系のスタッフも活躍

多品種少量生産が特徴である医薬品の生産部門は、他の製造業の生産工場に比べて小規模です。しかし、医薬品が生命関連性製品であるという性質上、不良品があってはなりません。

製薬企業は国が定めるGMP(製造及び品質に関する基準)のほかに、生産工場に独自の社内基準を設けている場合も多く、生産管理、製造工程の品質管理、従業員への注意が徹底して行われます。

「品質第一」は各社共通の最重要事項ですが、生産部門は単に医薬品を製造するだけでなく、研究部門と密に連絡をとりながら新しいアイデアを持って生産管理と品質管理を行われることが求められます。

医薬品を海外へ輸出する場合、アメリカのFDA(米国食品医薬品局)やEUのEMA(欧州医薬品庁)の査察を受けることになりますが、その対応も生産部門の重要な業務です。

生産部門の技術者は、生産設備の管理と補修を行う「機械設備系」と品質管理を行う「薬学系」の2つに大別されます。生産部門に従事している技術者は少数ですが、要求される技術もそれだけ高度ということでもあります。

新薬を開発する際には、生産ラインをその剤形や化合物の種類に合わせる必要があります。機械設備の技術者は、生産ラインの設計に携わり、機械メーカーと共同で新たな製造装置を開発することもあります。医薬品の剤形は錠剤、顆粒、液状、クリーム状、肌に貼るタイプまでさまざまですので、研究部門が考えた製剤を実際に生産ラインに乗せる仕事は、想像以上に複雑なのです。

コーティング技術、粉末のミクロ化、硬度の調整によって生体内の吸収や代謝をコントロールする医薬品が増えてきたため、近年はどの製薬企業も剤形研究に力を入れており、生産部門の重要性はより高くなっています。

製造から品質管理に使用される機器のハイテク化、デジタル化が著しいため、生産部門ではコンピュータや人工知能、ファジー工学、光学系を専攻した技術者を採用するケースが増えてきています。医薬品の製造プロセスが高度化するのに伴い、生産部門の専門家もさらに進んでいくことが予測されます。

GMP基準(Good Manufacturing Practice)の順守

医薬品は正しい容量・用法で服用したとしても、製造段階で配合ミスや衛生管理に問題があれば、人体に有害事象を引き起こす危険性があります。

そのため医薬品の開発、製造から販売、流通に至る各プロセスで厳しい基準が設けれられますが、製薬企業が順守を義務付けられているものの一つに「GMP(医薬品の製造管理及び品質に関する規則)」があります。

GMPはGood Manufacturing Practiceの略語で、人為的な誤りが製造段階で発生することを極力抑え、汚染や品質低下を防止することにより、高度な品質を保証できるシステムを作り上げることが基本要件となっています。

高度な品質管理を実現するため、製造部門から品質管理部門を独立させることが求められます。そして医薬品の製造、包装、出荷の各プロセスにチェック項目が設けられており、全てにパスしない限り工場から出荷できない仕組みになっているのです。この各プロセスにおけるチェック項目は手順書として文書化が行われています。

GMP基準は厚生労働省の許可要件となっているため、医薬品の製造、管理体制に問題があると認められれば、業務停止命令が出されます。近年ではヤンセンファーマ、田辺三菱製薬の工場で出荷に必要な品質試験の一部部が適切に行われなかったため、業務停止命令を受けています。